東大病院呼吸器外科実績

東大病院呼吸器外科では、肺癌などの肺悪性腫瘍、胸腺腫などの縦隔腫瘍、気胸などの胸膜疾患、肺移植など、年間300件を超えるさまざまな手術を手がけています。2020年はCOVID-19の流行により手術数が制限され、若干の手術件数の低下がありましたが、現在は各部門の努力により正常化しています。その中でも肺移植は29件を実施し、これまでで最多となりました。また患者さんの身体への負担の少ない低侵襲手術に力を入れており、従来の胸腔鏡手術のほか、単孔式胸腔鏡やロボット支援手術を行っています。

2020年の実績 (Achievements in 2020)

東大病院呼吸器外科の手術件数は、ここ数年増加傾向でしたが、COVID-19の影響で2020年はやや減少しました。現在は各部門の努力により、予定手術は正常に行われています。

東大病院呼吸器外科の2020年の手術うちわけでは、原発性肺癌が約40%と最も多く、転移性肺腫瘍14%、肺移植9%と続いています。縦隔腫瘍や気胸、膿胸などさまざまな外科治療を行っています。気管支内レーザー照射やステント留置など、気道疾患にも対応しています。

低侵襲手術 (Minimally Invasive Surgery)

東大病院呼吸器外科では低侵襲手術に力を入れています。肺悪性腫瘍手術の約9割が、体への負担の少ない胸腔鏡手術で行われています。手術術式の選択は患者さんの病状等により大きく異なる可能性があります。詳しくは担当医にお尋ねください。

東大呼吸器外科では、従来の胸腔鏡手術よりもさらに身体への負担が少ない、単孔式胸腔鏡手術も取り入れています。具体的には重症筋無力症や早期の胸腺腫に対する剣状突起下アプローチによる胸腺摘出術や、肺癌などに対する一部の肺葉切除、区域切除が対象になります。手術術式の選択は患者さんの病状等により大きく異なる可能性があります。詳しくは担当医にお尋ねください。

東大病院呼吸器外科では、2021年1月から本格的にDaVinci を用いたロボット支援手術を開始しました。肺葉切除、区域切除が対象となりますが、今後適応を拡大し、さらに患者さんへの身体の負担を減らす工夫と努力を続けていきたいと思います。手術術式の選択は患者さんの病状等により大きく異なる可能性があります。詳しくは担当医にお尋ねください。

肺マッピングとナビゲーション手術 (Lung Mapping and Navigation Surgery)

東大病院呼吸器外科が中心となって行ってきた、微小肺病変切除支援のための気管支鏡下肺マーキング(virtual assisted lung mapping: VAL-MAP法)は先進医療を経て、2018年3月正式に保険診療として認められました。

さらに電磁誘導気管支鏡によるリアルタイムナビゲーショを用いたVAL-MAP(ENB-VAL-MAP) を行うことで、さらに正確かつ身体的負担の少ないVAL-MAPを実施しています。こちらも2020年12月、保険診療で実施可能となりました。

従来のVAL-MAPでは、肺の炭粉沈着などで色素マーキングが見えにくいことがあったため、蛍光胸腔鏡下で高感度に視認可能なインドシアニングリーン(ICG)を併用したICG-VAL-MAPを導入しました。さらに確実なVAL-MAPとナビゲーション手術が提供可能となっています。

VAL-MAP法の詳細についてはこちらのページもご覧ください。

肺移植(Lung Transplantation)

東大病院呼吸器外科では、2015年の肺移植開始以来、2021年10月までに97件の肺移植(生体肺移植21、脳死肺移植76)を実施し、最近では日本で最も多くの肺移植を実施している施設の一つとなっています。 また脳死肺移植待機登録患者数は120名となっており、日本で最も多くの患者さんが登録し肺移植を待っている施設の一つです。

肺移植は、間質性肺炎、肺気腫、肺高血圧症などによる終末期呼吸不全に対する最後の砦です。東大病院呼吸器外科で肺移植を受けた患者さんの疾患は、特発性間質性肺炎が最も多く、肺高血圧症、骨髄移植など造血幹細胞移植後の肺障害、その他の間質性肺炎、気管支拡張症(びまん性汎細気管支炎、嚢胞性線維症を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、α1アンチトリプシン欠損症を含む)、リンパ脈管筋腫症などと続いています。

当院の肺移植の取り組みについては、こちらのページもご覧ください。

東大病院での肺移植について

肺移植後慢性期の管理について

チーム医療(Teamwork)

東大病院呼吸器外科では、呼吸器内科・放射線科と合同で行う毎週の呼吸器キャンサーボードなどを通して、診断から集学的治療までseamlessに肺癌その他の呼吸器疾患の治療を進めています。

東大呼吸器外科では元々ひとつの胸部外科だった心臓外科と、毎朝の合同カンファレンスを行うなど、常に連携しています。肺移植をはじめ、ECMO、人工心肺下の肺手術や、心臓・肺の同時手術など、当院ならではの高度な手術を数多く実施しています。

東大病院呼吸器外科が行っている、肺移植をはじめとする高度医療は、ICU、PICUなどの集中治療部門や、看護師、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、管理栄養士、臨床心理士など、高い知識・技術をもった専門家が高度なチームワークを発揮し、診療を支えています。