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肺がんが疑われたら

補足2)肺癌の治療

2013年人口動態統計によると日本国内で約37万6,000人の方が悪性腫瘍により亡くなられています。うち肺癌による死亡は約73,000人であり、悪性腫瘍による死亡の第1位となっています。肺癌患者さん全体の5年生存率は16%程度と不良です(文献 11)。

肺癌は症状なく進行し、発見された際には脳・骨・肝臓・副腎などへの遠隔転移を伴っているためです。このような患者さんは肺癌全体の約39%に及びます(文献 12)。遠隔転移を伴う肺癌の病期はIV期であり、化学療法(抗癌剤)の適応となりますが、治療成績は不良です。

肺癌の治療は手術、放射線治療、化学療法があり、病理診断と病期(癌の進行度)に応じて決定されます。小細胞癌と診断された場合、手術が行われることはほとんどありません。病気の広がりに応じて放射線化学療法(放射線治療と抗癌剤治療を組み合わせた治療)または化学療法が適応となります。

非小細胞肺癌の治療は病期に応じて手術、放射線治療、化学療法が適応となります。非小細胞癌と診断された症例のうち、手術が適応となるのはIA期からIIIA期の一部までです。これは肺癌と診断される患者さんの約29%です(文献 13)。すなわち、肺癌と診断されても手術適応とならない患者さんのほうが多いのが現状です。
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