2021年肺癌手術をNCDベースで詳細に登録して10年間予後を追跡する前向きデータベース研究
東京大学医学部附属病院呼吸器外科にて、肺癌で2021年に外科手術を施行された方へ
当院では肺癌登録合同委員会が実施する第11次事業全国肺癌登録事業に参加しております。この研究は肺癌の予防、診断、治療の向上に寄与することを目的として行われる多施設共同研究です。この研究を行う肺癌登録合同委員会は、日本呼吸器外科学会、日本肺癌学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本胸部外科学会が共同で運営している組織で、5年ごとに我が国で肺がんの外科治療を受けた患者さんの情報を集め、治療状況を調査しています。このようなデータを調べることで、肺がん治療成績の向上に貢献するとともに、世界共通の評価基準を作ることに協力してきました。今回は、2021年に手術を受けた患者さんの情報を集めて分析します。また、国際的なデータベースに協力し、肺がん診療の世界基準の構築に貢献いたします。
この研究の対象者に該当する可能性がある方で、研究への協力を希望されない場合、あるいは協力を途中でおやめになりたい場合は2022年3月31日までに末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。
【研究課題】
2021年に外科治療を施行された肺癌症例のデータベース研究(審査番号2020358NI)
【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関 東京大学医学部附属病院 呼吸器外科
研究責任者 中島 淳(呼吸器外科・教授)
【共同研究機関】
主任研究機関 千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学
研究代表者 吉野一郎(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学 教授)
研究責任者 伊達洋至(京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学 教授、肺癌登録合同委員会 委員長)
共同研究機関 京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学
大阪大学呼吸器外科
国立がん研究センター東病院呼吸器外科
名古屋市立大学呼吸器外科
東北大学呼吸器外科
長崎大学呼吸器外科
順天堂大学呼吸器外科
千葉県立がんセンター呼吸器外科
*ここに記載された研究機関以外にも全国の大学医学部附属病院および地域の基幹施設で参加を希望する施設が共同研究機関に含まれます。
【研究期間】
承認日~2025年12月31日
本研究は長期にわたる研究を計画しています。記載の研究期間終了後も継続する場合は研究期間延長の申請を行う予定です。
【対象となる方】
2021年1月1日から2021年12月31日に肺癌に対して外科治療を受けた20歳以上の患者を対象とします。
【研究の意義】
肺がんは肺に発生する悪性腫瘍で、喫煙や大気汚染がその発生に関与しています。肺がん患者数は増加傾向にあり、我が国では2014年には約11万3千人(男性77,617人、女性36,933人)が新たに診断されていると推定されています。一方、肺がんによる死亡者数も増加傾向にあり、2017年には約7万4千人(男性53,002人、女性36,933人)に達しています。
肺がんを確実に早く治療するには、早期発見と根治手術が最も確実な治療法とされており、全ての肺がん患者さんの約50%が手術を受けています。肺がんの病状によっては、手術前に放射線療法や化学療法またはその組み合わせ治療を受けたり、手術後に化学療法や放射線療法を受けたりする場合もあります。そして手術を受けた約半数の患者さんは、手術時に見つからなかった場所のがんが手術後に発見される事があり、さらに治療を要する場合もあります。
以上のように肺がんの手術治療を受ける患者さんは、病状や全身状態によって多彩な経過をたどることになります。肺がんの治療成績は年々向上していますが、患者数は未だ増加傾向にあるため、今後さらに新しい検査、手術技術や薬物など、診断や治療方法の開発が必要です。
【研究の目的】
この研究を行う肺癌登録合同委員会は、日本呼吸器外科学会、日本肺癌学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本胸部外科学会が共同で運営している組織で、5年ごとに我が国で肺がんの外科治療を受けた患者さんの情報を集め、治療状況を調査しています。このようなデータを調べることで、肺がん治療成績の向上に貢献するとともに、世界共通の評価基準を作ることに協力してきました。
今回は、2021年に手術を受けた患者さんの情報を集めて分析します。また、国際的なデータベースに協力し、肺がん診療の世界基準の構築に貢献いたします。
【研究の方法】
従来、肺がんの手術を受ける方は、ナショナルクリニカルデータベース(NCD)というシステムに手術情報、診療記録、臨床検査データ、診断用画像情報、病理組織情報を登録しています。それに加え、本研究では、術後経過中に観察された再発や手術以外の治療、健康状態などについても登録し、解析します。詳細な内容は別紙をご参照下さい。
各施設からNCDシステム上に入力されたデータは、胸部腫瘍データベースとして集積され、NCDサーバー上で保管されます。NCDに集積されたデータは、研究事務局が定めるデータ解析センター(東京理科大学理学部数学科)へ送られ解析されます。その際情報の輸送は、物理的手段あるいは最新の安全措置がされたwebシステムを介して行います。データは外部と接続されていないパーソナルコンピュータに保管します。
なお、本研究は、通常の臨床において診療記録に記載されている情報のみを用いて行う観察研究ですので、患者さんに本研究のために特別な検査や処置をお願いすることはありません。今回の研究では、当院から約150人、全体で約7000人の患者さんのデータを収集し解析を行う予定です。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認および千葉大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
【個人情報の保護】
この研究に関わって収集される情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
各施設からNCDシステム上に入力されたデータは、NCDサーバー上の胸部腫瘍データベースとして集積され、保管されます。この際に、生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにします(このことを匿名化といいます)。NCDに集積されたデータは、研究事務局が定めるデータ解析センター(東京理科大学理学部数学科)へ送られ解析されます。その際情報の輸送は、物理的手段あるいは最新の安全措置がされたwebシステムを介して行います。これらのデータは、外部と接続されていないパーソナルコンピュータで厳重に保管します。解析されたデータは、今回の研究に参加を希望する全国の大学医学部附属病院、および地域の基幹施設で、論文作成等に利用されます。データは論文等の発表から10年間保管され、その後破棄されます。
また、本研究で構築され匿名化されたデータベースを、海外の国際的学術団体であるInternational Association for the Study of Lung Cancer(Scientific Affairs (13100 E. Colfax Ave., Unit 10 Aurora, Colorado 80011, USA, Office: +1 (720) 598-1941)に供出し、肺がんの進行具合を示す指標であるTNM分類の改定作業の基礎データとします。データはウェブ環境に接続されていないコンピュター上で厳重に10年間管理され、その後破棄されます。
この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は、下記の問い合わせ先に2022年3月31日までにご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。
研究資金は5つの学会(日本肺癌学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器外科学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本胸部外科学会)から出資されています。当院におきましては、東京大学大学院医学系研究科呼吸器外科研究室の研究費(大学運営費)から支出されています。本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。
2021年3月
【問い合わせ先】
連絡担当者:長野 匡晃(ながの まさあき)
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 呼吸器外科
電話:03-3815-5411(内線37586) FAX:03-5800-9156
e-mail:naganom-sur@h.u-tokyo.ac.jp