非小細胞肺癌手術症例の臨床病理学的検討

(2014年2月)
~肺がん術後再発・予後因子の解析における臨床データ利用のお願い~

【はじめに】
当院では患者さんによりよい治療を受けていただくために臨床研究を行っています。このたび、アメリカNew YorkのMemorial Sloan-Kettering Cancer Center (MSKCC)と共同で後ろ向きコホート研究を行うこととなりましたので研究内容についてご連絡申し上げます。

【研究課題】
非小細胞肺癌手術症例の臨床病理学的検討

【研究意義・目的】
肺がんは年々増加傾向にあり、我が国の癌死の第一位となっております。当科でも手術患者さんは増加しており、年間200人以上の手術を行っております。しかし、全国肺癌登録合同委員会が集計した結果によると本邦における手術を受けた患者さんの5年生存率は約70%であり、十分に根治できていると言い切れないのが現状となっております。本研究では臨床データ、手術術式、病理学的検査所見など、慎重に定義したいくつかの臨床項目を組み合わせることによりデータの示す傾向や性質が解明され、再発や予後に影響を与える因子の探索が可能であると考えております。その結果より予測に使用できる診断基準を作成できるものと確信しています。また、日米二つの施設で検討することによって人種や生活環境の違いを越えた、より確実な因子が抽出され、本研究から検証された結果は国際的な外科的治療基盤を構築しうる可能性があると考えています。

【研究方法】
本研究は後ろ向き研究です。東京大学医学部附属病院とアメリカのがん専門病院であるMSKCCが共同で原発性肺がんに対する手術を受けられた患者さんのデータを同じ基準の元に収集・解析します。

【対象となる方】
1990年1月1日~2013年12月31日までに当院呼吸器外科で原発性肺癌に対する手術を受けられた方です。

【検討する項目】
臨床データは通常に診療を受けていただく際に記録されるデータであり、特別に採血など患者さんに負担いただいて収集するものではありません。具体的には以下の通りです。

カルテ情報(性別、年齢、既往歴、喫煙歴、生理機能検査、手術日、組織型、腫瘍径、病期、手術術式、手術時間、切除根治度、補助療法の有無、化学療法の内容、放射線治療の内容、最終確認日、転帰、再発部位、再発後治療の内容)、CT・MRI画像、採血データ(白血球数、白血球分画)病理検査(組織型、脈管浸潤、腫瘍内リンパ球数)

この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合には主治医にお伝えいただくか、下記の研究事務局まで平成26年12月31日までにご連絡ください。ご連絡いただけなかった場合、ご了承頂けたものとさせて頂きます。患者さんには臨床データの利用の目的と趣旨をご理解いただけるようよろしくお願い申し上げます。本研究に参加されなくてもあなたが不利益を被ることはありません。また、本研究に参加されても報酬は支払われません。このような臨床研究に対してさらに説明を希望される方、また個人の臨床データの収集および臨床研究への利用を拒否される方は研究責任者の似鳥純一(東大病院呼吸器外科 助教)までお申し出ください。研究結果は、個人が特定できない形式にて学会や研究会で発表されます。収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示します。下記までご連絡ください。ご不明な点がありましたら主治医または研究事務局へお尋ねください。

【研究機関名】
東京大学医学部附属病院呼吸器外科 診療科長 中島 淳

【研究事務局、問い合わせ連絡先】
住所:〒113-8655東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-3815-5411 内線 37584
電子メール:NITADORIJ-SUR@h.u-tokyo.ac.jp
東京大学医学部付属病院 呼吸器外科 助教 似鳥純一(にたどり じゅんいち)