リンパ脈管筋腫症の病巣構成細胞間の情報伝達機序メカニズムに着目した基礎研究

研究機関  東京大学医学部附属病院・呼吸器外科

研究責任者 佐藤雅昭・呼吸器外科

担当業務  肺移植を実施し、その際摘出された病気肺の一部を手術室内で切除・処理し、

患者の血液・乳び液(胸水や腹水)とともに主任施設に送付

 

 

【共同研究機関】

主任研究機関 順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座

研究責任者 瀬山邦明・先任准教授

担当業務  肺移植で摘出された病気肺の一部と患者の血液・乳び液(胸水や腹水)を受け取り、病理学的に解析

 

研究機関   東北大学加齢医学研究所呼吸器外科学分野

研究責任者 岡田克典・教授

担当業務  肺移植を実施し、その際摘出された病気肺の一部を手術室内で切除・処理し、

患者の血液・乳び液(胸水や腹水)とともに主任施設に送付

 

研究機関   日産厚生会玉川病院

研究責任者 栗原正利・呼吸器外科部長

担当業務  肺癌手術を実施し、その際摘出された病気肺の一部を手術室内で切除・処理し、

患者の血液・乳び液(胸水や腹水)とともに主任施設に送付

研究機関  東京都立墨東病院

研究責任者 江花弘基・呼吸器外科医長

担当業務  肺癌手術を実施し、その際摘出された病気肺の一部を手術室内で切除・処理し、

患者の血液・乳び液(胸水や腹水)とともに主任施設に送付

 

研究機関  虎の門病院

研究責任者 宮本篤・呼吸器内科医長

担当業務  肺癌手術を実施し、その際摘出された病気肺の一部を手術室内で切除・処理し、

患者の血液・乳び液(胸水や腹水)とともに主任施設に送付

 

研究機関   国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター

研究責任者 村川泰裕・IFOMがんゲノミクス連携研究チーム

担当業務  LAM患者肺、肺がん患者からの摘出肺の正常組織部、患者血液、培養細胞の遺伝子発現の解析

研究機関   国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター

研究責任者 Piero Carninci・副センター長

担当業務  LAM患者肺、肺がん患者からの摘出肺の正常組織部、患者血液、培養細胞の遺伝子発現の解析

 

研究機関   国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター

研究責任者 ARNER Erik・ゲノム制御ネットワーク研究チーム

担当業務  LAM患者肺、肺がん患者からの摘出肺の正常組織部、患者血液、培養細胞の遺伝子発現の解析

 

研究機関   国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター

研究責任者 岡崎康司・応用ゲノム解析技術研究チーム

担当業務  LAM患者肺、肺がん患者からの摘出肺の正常組織部、患者血液、培養細胞の遺伝子発現の解析

 

研究委託機関  タカラバイオ(株)

担当業務  single-cell RNAseq法によるLAM患者検体の網羅的遺伝子発現解析

 

【研究期間】 2020年10月21日~ 2022年3月31日

【研究目的】

LAM患者さんの経過はシロリムス治療の開発により大きく変わりました。しかし、シロリムス治療の効果の少ない方もいますし、何よりも病気を治癒させることはできないため、長期間にわたって内服する必要があります。また、副作用が強くて十分内服できない方もいます。シロリムスの効果に影響を及ぼす因子を明らかにしたり、病気そのものを治せるような治療法を開発するには、病気の仕組みをより詳細に明らかにし新しい治療法を開発するための研究が必要です。そして、「仕組み」の解明には、病気を起こしているLAM細胞そのものや、患者さんの血液や乳び液(胸水や腹水)などを解析することが大きな手掛かりとなります。本研究では、LAM患者さんを診療する過程で得られることがある切除肺組織、血液、乳び液などの試料の一部を研究用に提供いただき詳しく調べさせていただくことで、まだわかっていない病気の仕組みを解き明かし、新しい治療法の開発につなげたいと考えております。

【研究方法】

  • 対象となる患者さん

当院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、もしくは研究協力施設に通院あるいは入院されているLAMの患者さんで、診断や治療上の必要性から血液や乳び液(胸水や腹水)を採取される予定のLAM患者さん、気胸の治療や診断のため、あるいは肺移植のために肺組織の一部を切除する予定のLAM患者さん、を対象とします。肺組織は病理診断に用いる大切な試料ですので、「仮に一部を研究用に供与いただいたとしたら、患者さんの診療に影響が出てしまう恐れがある」ような状況では、研究用にいただくことはしません。また、「研究に用いるために、本来の診療目的以上に多くの肺組織を切除する」、こともしません。上記の点は必ず遵守しますので、どうかご安心ください。

 

  • この研究で行う内容

患者さんから術中に採取させていただく血液(20ml)を含む体液、切除肺は順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科研究室での解析、細胞実験に使用します。この研究の参加していただくことで、新たに検査が追加されることはございません。具体的には体液については、蛋白や細胞外小胞(細胞から分泌されるメッセージ物質を含む小胞)などを回収し、診断、重症度、治療効果判定や治療標的となるような物質を探索します。

切除された肺組織については、特殊な技術を用いてLAM病巣を構成する複数の種類の細胞(LAM細胞を含む間葉系細胞やリンパ管内皮細胞、など)を分取し、その後、培養を継続して増やします。また、一部は凍結保存します。各細胞は、増殖や細胞外小胞の分泌などの機能を評価しますが、種々の刺激物質を加えてどのように反応するか、等の解析を加え、病気の仕組みの解明につなげます。また、患者さんの肺組織から分離した細胞から、体外の培養環境でもずっと生き続けられるような“細胞株”の樹立、も目指します。細胞株ができると、何度も患者さんから試料をいただかなくても、安定してLAMの病気の仕組みを調べるための実験などに用いることができるようになります。

また、切除された肺組織の一部や血液、培養細胞については網羅的な遺伝子発現の解析を行ったり、あるいは電子顕微鏡を用いて形態構造の解析を行ったりして、病気の仕組みの解明に役立てます。また、LAM細胞ゲノムDNAを用いてTSC遺伝子等の塩基配列を全ゲノム解析法などを用いて調べることがあります。

上記のような研究成果と患者さんの臨床情報の関連性の有無を調べるため、以下のような情報を使わせていただきます。

  • 被験者基本情報:年齢、性別、身長、体重、診断名、気胸の家族歴、LAMのタイプ
  • 頭部、胸部~骨盤までの画像診断情報(CT、MRI、エコー)
  • 血液検査、VEGF-D値、肺機能検査値の推移、治療状況
  • 施設間での試料や情報・データ等の授受について

患者さんからいただいた血液を含む体液、切除肺は、順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座の研究関係者に手術当日に当院に来院していただき、直接渡します。情報や画像データは、情報をExcelおよびPDFファイルに変換し、暗号をかけた後、メールにて提供いたします。

  • この研究の予定参加機関・予定参加人数について

予定参加期間は2020年10月21日~西暦2022年3月31日で、15名の患者さん(東大は10名)に参加をお願いする予定です。

 

診療科長・教授

外科専門医
呼吸器外科専門医
呼吸器外科評議員