肺部分切除術に対する外科医の暗黙知に関する研究

東京大学医学部附属病院呼吸器外科にて

手術を受けた方およびそのご家族の方へ

 

当院では呼吸器外科領域における外科医の経験に基づく暗黙知をデータ化し、より良い医療技術を開発する研究を行っています。この研究では、当院呼吸器外科で手術を受けた患者さんのCT画像を匿名化して用い、肺部分切除術の可能な領域と不可能な領域に関する外科医の暗黙知(知識や経験に基づく無形の医療技術)を可視化し定量化することを行います。この研究の対象者に該当する可能性がある方で、

〇診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合

〇研究への協力を希望されない場合、あるいは協力を途中でおやめになりたい場合

令和2年12月31日までに末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。

 

【研究課題】

肺部分切除術に対する外科医の暗黙知に関する研究(審査番号2020147NI)

 

【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。

研究機関    東京大学医学部附属病院呼吸器外科

研究責任者  診療科長 中島 淳

担当業務  研究統括

 

【研究期間】

承認日~2025年03月31日

本研究は長期にわたる研究を計画しています。記載の研究期間終了後も継続する場合は、研究期間延長の申請を行う予定です。

 

【対象となる方】

1990年1月1日~2020年03月31日までに当院呼吸器外科で手術を受けられた方。

 

【研究の目的】

近年、早期発見された微小肺悪性病変に対して、従来よりも少ない呼吸機能の喪失で根治を目指す手術(縮小手術)が積極的に行われており、肺部分切除術は縮小手術の代表的な術式です。肺部分切除術では、病変の存在する領域を肺表面から深部に楔状にくり抜くように切除します。悪性病変から切離線までの距離(外科的マージン)を十分に確保することが、局所再発を防ぎ根治性を高めるうえで重要と考えられていますが、肺表面から深部に切り込んで切除できる範囲には限りがあり、時に術前の予想に反して、外科的マージンを確保した切除が成功しないことがあります。外科的マージンを確保した肺部分切除が確実に施行できるか否かを術前に判断できる客観的で定量的な指標は存在せず、現状では個々の呼吸器外科医の経験に基づいて切除の可否が判断されています。

本研究では、肺部分切除術における外科医の暗黙知(知識や経験に基づく無形の医療技術)を可視化、定量化することで、より安全な肺部分切除を可能とする技術を開発します。

 

【研究の方法】

  1. 審査番号・研究課題名2406-(6)・呼吸器外科疾患に関する後ろ向き非介入研究に参加に同意している患者さんの中から、術前に全肺野の高解像度CTが撮像されており、かつカルテ情報内に性別、年齢、喫煙歴、生理機能検査、手術日、組織型、腫瘍径、手術術式、手術時間、切除した肺における外科的マージン、切除根治度、最終確認日、再発の有無が記載された100名の患者さんに対して対応表ありの匿名化を行います。肺部分切除可能と判断する領域及び不可能と判断する領域を簡便に可視化するアプリケーションを開発します。アプリケーション内で、先に述べた100名のうち10名の患者さんのCT画像を使用します(アプリケーション内で患者さんの氏名、生年月日、診察券番号など個人情報は表示されません)。
  2. アプリケーションを用いて、肺部分切除術における複数の呼吸器外科医の暗黙知(知識や経験に基づく無形の医療技術)を可視化、定量化します。判断結果を収集及び解析し、外科的マージンを確保した肺部分切除が確実に施行できるか否かを術前に判断できる客観的で定量的な指標を確立します。
  3. 確立した指標が安全な肺部分切除術を可能とする技術として実用に耐えうるか、100名のうち残りの90名の患者さんのCT画像やカルテ情報(性別、年齢、喫煙歴、生理機能検査、手術日、組織型、腫瘍径、手術術式、手術時間、切除した肺における外科的マージン、切除根治度、最終確認日、再発の有無 )から得られたデータを使用して検証します。

 

この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。

これまでの診療でカルテに記録されている情報やCT画像データを収集して行う研究です。特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。

 

【個人情報の保護】

この研究に関わって収集される情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。

収集した情報・データ等は、解析する前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにします(このことを匿名化といいます)。匿名化した上で、パスワードロックをかけ、ネットワークから隔離された外付けドライブ内で保存し、外付けドライブは鍵のかかるロッカーで厳重に保管します。

この研究のためにご自分(あるいはご家族)のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の問い合わせ先に令和2年12月31日までにご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。

ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。

 

研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内及び海外のデータベース等で公表します。

収集した情報・データ等は、原則としてこの研究のためにのみ使用しますが、保管期間終了までの間に、この研究以外の研究に使用される可能性もあります。この研究において得られた情報・データ等は匿名化して保存し、研究終了後10年間、もしくは論文発表後10年間のどちらか遅い方まで保管します。将来、当該情報・データ等を新たな研究に用いる場合や他の研究機関に提供する場合は、改めて東京大学医学部倫理委員会の承認を受けた上で行います。また収集した情報・データ等は、個人の識別が出来ないようにすることで廃棄します。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。

この研究の結果として特許権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その特許権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。

 

この研究に関する費用は、東京大学呼吸器外科研究費(大学運営費)から支出されます。この研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。尚、あなたへの謝金はございません。

この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。

 

2020年12月

 

【問い合わせ先】

連絡担当者:長山和弘(ながやまかずひろ)

〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

東京大学医学部附属病院 呼吸器外科

電話:03-3815-5411(内線 30405)  FAX:03-5800-9156

e-mail:NAGAYAMAK-SUR@h.u-tokyo.ac.jp

届出研究員


【所属学会】
日本外科学会
日本胸部外科学会
日本呼吸器外科学会
日本肺癌学会
日本移植学会
日本呼吸器学会
日本呼吸器内視鏡学会
日本臨床腫瘍学会
日本CT検診学会
International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC)