東京大学医学部附属病院呼吸器外科にて 「個々のがんの遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と腫瘍内微小環境の解析に基づく免疫制御法を組み合わせた個別化がんワクチン治療の開発の研究」に参加された方およびそのご家族の方へ
東京大学医学部附属病院呼吸器外科にて
「個々のがんの遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と腫瘍内微小環境の解析に基づく免疫制御法を組み合わせた個別化がんワクチン治療の開発の研究」に参加された方およびそのご家族の方へ
当院では、肺腺癌の発生メカニズムについての研究を計画しています。本研究は、「個々のがんの遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と腫瘍内微小環境の解析に基づく免疫制御法を組み合わせた個別化がんワクチン治療の開発の研究(審査番号G3545)」で採取・保管した試料を用いて、腫瘍ではない部分の肺におけるがん遺伝子変異の発生頻度を分析するものです。
この研究の対象者に該当する可能性がある方で、
〇過去に採取した試料および診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合
〇研究への協力を希望されない場合、あるいは協力を途中でおやめになりたい場合
は2023年6月15日までに末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。
【研究課題】
日本人の正常肺における体細胞遺伝子変異の頻度の解明(審査番号2022355G)
【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
主任研究機関 東京大学 医学部附属病院
研究責任者 臓器移植医療センター・呼吸器外科 准教授 佐藤雅昭
担当業務 研究計画立案・匿名化・データ取得・データ解析
【共同研究機関】
研究機関 Francis Crick Institute (英国)
研究責任者 Charles Swanton (Senior Group Leader)
機関の長 Paul Nurse
担当業務 シーケンス(塩基配列の解読)、データ解析
研究機関 University of Colorado (米国)
研究責任者 James DeGregori (Professor)
機関の長 Todd Saliman
担当業務 シーケンス(塩基配列の解読)
この研究に利用する試料は共同研究機関のみで利用されます。匿名化された塩基配列データ(ゲノムデータ)は、国際公共データベースへ公開する可能性がありますが、その場合は研究者を含めた協議を行い許可されたものだけを対象とした限定的な公開となります。
【研究期間】
承認日~2027年12月31日
なお、本研究は長期にわたる研究を計画しています。記載の研究期間終了後も継続する場合は、研究期間延長の申請を行う予定です。
【対象となる方】
2012年11月20日 ~ 2022年12月31日の間に、当院呼吸器外科でおこなっている「個々のがんの遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と腫瘍内微小環境の解析に基づく免疫制御法を組み合わせた個別化がんワクチン治療の開発の研究(審査番号G3545)」にご参加いただいた方。
【研究目的・意義】
この研究は、あなたの肺から「遺伝子」を抽出して解析することを通じ、肺がんが発生するメカニズムを理解することを目指すものです。「遺伝子」とは、人間の身体を作る設計図にあたるものです。人間の身体は、約60兆個の細胞からなっていますが、遺伝子は、細胞一個一個の中の「核」という部分に入っています。人間の身体は、この遺伝子の指令に基づいて成長、維持されており、多くの病気はこの遺伝子と、生活の仕方等の環境要因の両方の影響からおこると言われています。また、この遺伝子に変化が起きると、体の正常な働きが保たれなくなることがあります(これを遺伝子の変異と言います)。多くのがんは、遺伝子変異によって発生することが近年わかってきました。一方で、がんではない部分の組織において、がんと関連する遺伝子変異がどの程度起きているかについては、まだ良くわかっていません。本研究では、がんではない部分の肺において、遺伝子変異がどの程度起きているのかを調べます。
【研究の方法】
ご参加いただいた【審査番号G 3545】【研究課題名:個々のがんの遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と腫瘍内微小環境の解析に基づく免疫制御法を組み合わせた個別化がんワクチン治療の開発の研究】(以下、先行研究)にて提供いただいた試料を利用させていただく研究です。新たに研究対象者の皆さんに新たにご負担いただくことはありません。
当院に保管してある「がんではない部分の肺(以下、正常肺)」を研究に使用します。
この試料の一部を、共同研究機関であるFrancis Crick Institute(英国)に送付し、遺伝子を抽出します。シーケンス(塩基配列決定=遺伝子の情報を解読すること)は、Francis Crick Instituteもしくは共同研究機関であるUniversity of Colorado(米国)で行います。研究対象者の皆さんのお名前等が、他機関に伝わることはありません。
データ解析にあたっては、これまでの診療で診療録(カルテ)に記録されている、手術時の年齢、性別、がんの病理組織型、進行度、既往歴、投薬歴(免疫抑制剤の使用等)、血液検査データ(白血球やリンパ球の数、炎症反応を反映するタンパクCRP
など)および居住地の郵便番号を使用します。郵便番号は、環境省が公開する全国の大気汚染データと結びつけるために使用します。過去の研究ですでに得られている遺伝子の情報(がんの部分における遺伝子変異の情報など)も使用します。これらのデータは、パスワード付きハードディスクを用いて郵送または暗号化して電子的に授受する予定です。
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。
本研究で新たに生じるデータは正常肺における体細胞変異データであり、ただちに疾患リスクや予後、治療方針と関連することはありません。したがって本研究では取得した遺伝情報をあなたに直接通知することはありません。
【個人情報の保護】
この研究に関わって取得される試料や資料・情報等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
取得した試料や資料・情報等は、解析する前に氏名や生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにします。どなたのものか分からないように加工した上で、対応表は個人情報管理者のみが使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。
また、取得した試料や資料・情報等は、共同研究機関(Francis Crick Institute、英国)に送られ解析・保存されますが、送付前に個人情報を削り研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにします。どなたのものか分からないように加工した上で、Francis Crick Instituteの鍵のかかる冷凍庫、および厳重にアクセス制限が管理された研究用データサーバー内で保管されます。また、一部の試料は、どなたのものか分からないように加工した状態で、Francis Crick Instituteからさらに別の共同研究機関(University of Colorado、米国)に送られ、解析保存されます。この場合も、University of Coloradoの鍵のかかる冷凍庫、および厳重にアクセス制限が管理された研究用データサーバー内で保管されます。
この研究のためにご自分(あるいはご家族)の試料や情報・データ等を使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の問い合わせ先に2023年6月15日までにご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。
研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内及び海外のデータベース等で公表します。
取得した情報・データ等は厳重な管理のもと、先行研究で定める期間および本研究の承認後5年間保存されます。5年以上保存する場合は延長申請が行われます。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
なお、提供いただいた試料・情報の管理の責任者は下記の通りです。
試料・情報の管理責任者
所属:東京大学医学部附属病院 臓器医療センター・呼吸器外科
氏名:佐藤雅昭(呼吸器外科 診療科長)
〇知的財産権等が生じる可能性がある場合
本研究の結果として知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、東京大学医学部附属病院呼吸器外科の運営費ならびに共同研究機関の取得した研究費(Mark Foundation ASPIRE I Award (Grant 21-029-ASP),
Lung Cancer Research Foundation Grant on Disparities in Lung Cancer, Advanced Grant (PROTEUS, Grant Agreement no. 835297), CRUK EDD (EDDPMA-Nov21/100034),
Rosetrees Out-of-round Award (OoR2020/100009)等)から支出されます。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。
2023年3月
【連絡・お問い合わせ先】
連絡担当者:唐崎隆弘
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 呼吸器外科
電話:03-3815-5411 FAX:03-5684-3989
e-mail:karasakit-sur@h.u-tokyo.ac.jp