体外式膜型人工肺(ECMO)長期装着中患者の脳死肺移植実施症例について

東京大学医学部呼吸器外科の中島淳教授ら、同心臓外科の小野稔教授らと、日本医科大学付属病院 外科系集中治療科の市場晋吾部長らは、骨髄移植後肺障害のため終末期呼吸不全となり脳死肺移植待機中であった患者に対し、日本医科大学付属病院にて体外式膜型人工肺(ECMO)の装着による集中治療管理を行い、その後適合するドナーが出現したことから東京大学医学部附属病院にて脳死両側肺移植を実施しました。適合ドナーが出現するまでのECMO装着による集中治療管理は、5か月近くに及ぶ長期間となりました。術後の経過はおおむね良好で、移植後3か月が経過したこの程、リハビリテーションを行うために地元の病院へ転院した後、このほど自宅へ退院となりました。
欧米でもECMO装着患者の肺移植は行われていますが、通常は長くて1か月程度が限界とされています。肺移植を前提としたECMOの長期装着はさまざまな理由で大きな困難を伴います。これほど長期にECMOを装着したうえで肺移植に至り生還した例は国内では初めてであり、世界的にも報告例がほとんどなく極めて稀と考えられます。
今回の事例は、患者ご本人の生命力と、臓器提供をしてくださったドナー様、ご家族様の尊いご遺志、そして両院の関係各部署の高度なチームワークがすべて揃ってこそ成し遂げられました。
一方、肺移植に至るまでに長期のECMO管理が必要であり、またこれにより肺移植自体も非常に高度な技術を要するものとなった大きな理由は、日本における圧倒的な提供臓器不足にあり、日本の臓器移植の大きな課題といえます。

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