当院初の小児生体肺移植患児が無事退院

当科では、先天性肺低形成という稀な病態で呼吸不全が進んでいた8歳男児に、2019年4月半ば、父親をドナーとした生体部分片肺移植を実施しました。本件が当院としては最初の小児生体肺移植症例となりました。このほど、術後約1か月で紹介元への転院を経て、自宅退院となりましたのでご報告いたします。

患児の術前の病状は重篤で、手術前は人工呼吸器を装着した状態で前医より搬送され、準緊急での生体肺移植となりました。しかし肺移植手術ならびに術後の経過は順調で、術後2日目で人工呼吸器を離脱し、術後6日目には生後初めて酸素投与なしで過ごせるようになりました。その後のリハビリも順調に進み、今回無事退院の運びとなりました。

今回の一連の治療では、呼吸器外科だけでなく、小児心臓外科チーム、麻酔科、臨床工学士、PICU、小児外科、小児科、小児病棟など東大病院のさまざま部署が高度なチームワークを発揮し、当院初の小児生体肺移植症例を準緊急で行うという難局を乗り越えることができました。また紹介元のご施設とも、移植前から綿密に連絡をとり、転院・退院後も定期的にビデオカンファレンスなどを行うことで協力して治療にあたっています。今後もこのチーム力を生かし、肺移植を通して、成人・小児を問わず呼吸不全で生命の危機に瀕する患者さん方のお役にたてるよう努力していきたいと思います。

東京大学医学部附属病院 呼吸器外科
佐藤雅昭、中島淳

退院後撮影
退院後撮影:レシピエント患者さん(中央)、ドナーであるお父さん(右)、佐藤雅昭医師(左)