瀋陽の中国医科大学第一医院で国外第一例目のVAL-MAPを実施しました。

瀋陽の中国医科大学第一医院で国外第一例目のVAL-MAPを実施しました。

2016年11月25日,当科の中島淳教授と佐藤雅昭講師が中華人民共和国遼寧省瀋陽の中国医科大学第一医院で,日本国外ではおそらく第一例目となるvirtual assisted lung mapping (VAL-MAP)を実施し,同日VAL-MAP支援下に完全胸腔鏡下複雑区域切除(左S1+2c +S4)を成功させました.肺癌疑いの病変は確実に切除し,患者さんの術後の回復も順調でした.

このVAL-MAPおよび手術は,中国医科大学第一医院胸部外科の許順(Xu Shun)教授,2015年度に同院から東京大学呼吸器外科に留学生していた孫艳彬(Sun Yanbin)医師,および現在留学中の孫長博(Sun Chang bo)医師他,中国医科大学第一医院の第二胸部外科スタッフの多大な協力の元で実現しました.

また手術の模様は手術室外にも生中継され,中国の多くの胸部外科医にVAL-MAP支援下完全胸腔鏡下区域切除術の技術を勉強していただく機会となりました.

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(写真1)中国医科大学付属第一医院胸部外科のスタッフとの事前打ち合わせ

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(写真2)回診風景

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(写真3)内視鏡室でのVAL-MAP

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(写真4)その後の3Dバーチャル画像作成風景

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(写真5)手術風景:執刀する中島教授(左から2番目)と佐藤講師(同4番目),孫長博医師(同5番目)

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(写真6)生中継される手術の様子を見守る医師たち

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 (写真7)実際に使用されたバーチャル画像

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(写真8)実際に使用されたバーチャル画像

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(写真9)胸腔鏡下の手術映像.矢印はVAL-MAPによるマーキング

 

翌日の11月26日は中国医科大学第一医院主催で微小肺癌をテーマにした研究会『第一届日中胸外科微創与精准治療高峰会議』が開催されました.

中島淳教授が,2017年1月より発効となる国際肺癌取扱い規約第8版の変更点,とくに微小肺癌で問題となるすりガラス陰影の取り扱いに関する変更点について(Outlines and problems of the 8th UICC-TNM classification of lung cancer),また佐藤雅昭講師がVAL-MAPについて(VAL-MAP手術在胸外科的座用)の特別講演を行いました.

同会では北京,上海など中国各地からも同分野のエキスパートの先生方が講演され,大変実りの多い刺激的な会になりました.また午後からの若手医師向けのセッションでは佐藤雅昭講師が「如何成為一名術秀的胸外科医師」のテーマで臨床医としての研究の重要性についての教育講演を行いました.

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(写真10)講演する中島教授

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(写真11)講演する佐藤講師

 現在,VAL-MAPは,日本国内で保険収載に向けての先進医療が順調に進行しています(リンク).また,この先進医療に先だって日本国内17施設が参加して行われた多施設共同研究(MIL-MAP study) 500症例の結果が,国際専門誌,European Journal of Cardiothoracic Surgeryの誌上でまもなく公開されます.同方法は低侵襲で確実な縮小手術を可能にする方法として国際的にも注目を集めており,今回,中国瀋陽での実施を契機に,日本発の技術が世界に広がっていくものと期待されます.