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肺がんが疑われたら

Q10. 「転移性肺腫瘍」は肺癌とは異なるのでしょうか?

Q10. 2年前に大腸癌の手術をしました。
今回レントゲンを撮影したところ、肺に異常があると言われ、
「転移性肺腫瘍の疑い」があると言われました。
「転移性肺腫瘍」は肺癌とは異なるのでしょうか?

A.
肺にできる悪性腫瘍には原発性肺癌と転移性肺腫瘍があります。

原発性肺癌とは、肺から発生した癌、すなわち肺組織が

何らかの原因で癌化した結果できた癌です。

通常肺癌といえば、原発性肺癌のことをさします。

一方、転移性肺腫瘍も肺の悪性腫瘍でありますが、

他部位に発生した癌が遠隔転移をし、肺内で増殖した腫瘍のことを意味します。

他部位に発生した癌が血液の流れに乗って癌細胞が全身をめぐり、

その一部が肺に着床し、増殖した結果です。

それゆえ、転移性肺腫瘍は癌が全身に広がっている状態ということができます。

転移性肺腫瘍であっても、条件を満たすことで外科切除の適応となります。

また癌腫によっては転移性肺腫瘍の外科切除により良好な治療成績が得られています。

原発性肺癌では肺葉切除とリンパ節郭清が標準術式でありますが、

転移性肺腫瘍では肺部分切除術が行われます。

転移性肺腫瘍は、もともとの癌の発生部位により性格が異なります。

大腸癌の転移性肺腫瘍の場合は、肺に存在する病変であっても

腫瘍は大腸癌の性質をもっています。

それゆえ、抗癌剤治療がおこなわれる場合、大腸癌で用いられる薬の組み合わせが選択されます。

転移性肺腫瘍の治療は呼吸器外科医のみならず、

原発臓器の治療担当医との協力が不可欠です。

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