同種心臓弁・血管組織移植  

心臓や腎臓などの、いわゆる”臓器”には属さない、心臓弁や血管などを”組織”と呼び、これら組織をヒトに移植することを”組織移植”と言います。組織移植は臓器移植と同様、ドナーおよびご遺族の方々の尊いご厚意の上になりたっています。

当院では、2006年より、「凍結保存同種組織を用いた外科治療」として先進医療の認可を受け、2016年2月現在は先進医療暫定Aとして、保険医療と併用して行うことが2016年3月31日まで認められています。

()

東大病院組織バンクより保存組織の提供を受けて感染性心内膜炎や人工弁・人工血管感染、感染性大動脈瘤などの重症感染性疾患において有効な治療手段となっています。

同種組織移植の最大の特徴は、感染に強いと言うことです。なかでも、感染性心内膜炎は心臓弁に好発し、弁輪から心筋内まで膿瘍が及ぶことがあり、抗生剤でも効果がないことが多く、きわめて重篤な疾患です。しかも、通常の人工弁で置換するとその人工弁までも感染におかされることが多く、同種大動脈弁移植は救命のための治療法です。

心臓弁の病気で入院された患者様全員に、心臓弁の組織移植をするわけではありません。多くの場合、人工弁を移植します。それで回復する場合もありますが、人工弁は感染症を起こしやすいため、なかには術後感染症を合併し、人工弁が機能しなくなってしまい、何度も人工弁を移植しなおさなくてはならなくなることもあります。

そんな患者様のために、最後の手段として、同種組織弁は移植されます。人工弁と比べて、同種組織弁は非常に感染症に対して抵抗性が強いため、同種組織弁を移植された方の多くが回復しています。

同種心臓弁同様、同種血管は感染に強いという特徴があるため、人工血管移植で治癒困難な人工血管感染や、感染性大動脈瘤に対する大動脈置換術にも適応されています。

また、抗凝固療法を必要としない抗血栓性、良好な血行動態などから、小児の先天性心疾患にも適応されています(左心低形成症候群に対するノルウッド手術における新大動脈形成や、大動脈弁狭窄に対するロス手術などの右室流出路再建を要する手術における肺動脈グラフト移植)。

しかし、術後早期の弁石灰化、弁機能不全が起こることが知られており、これには免疫反応、あるいは活発な組織の代謝が関与していることが示唆されています。このため、小児への同種大動脈弁移植では、再手術も考慮しておかなければなりません。

2010年の改正臓器移植法の施行後、脳死下臓器提供数は増えましたが、心停止後の提供を含めた臓器・組織の提供総数の増加には至っておりません。移植医療については日本臓器移植ネットワークグリーンリボンキャンペーンなども参考にしてください。