先進医療B(肺癌免疫療法)のご案内

標準治療抵抗性の非小細胞肺がんに対するゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫細胞治療の自主臨床試験を第3項先進医療(先進医療B)として開始しました。

「標準治療抵抗性の非小細胞肺がんに対する
ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫細胞治療」
の自主臨床試験を第3項先進医療(先進医療B)として開始しました。

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患者さんへ

東京大学医学部附属病院 呼吸器外科では、標準的な治療に対して抵抗性の再発・進行肺がんに対して、γδ(ガンマデルタ)T細胞を用いた免疫細胞治療の自主臨床試験を第3項先進医療(先進医療B)として開始します。

この臨床試験は、下記のいずれかに該当する非小細胞肺がんの患者さんを対象としています。

①手術で切除を行った後に再発し、抗がん剤治療等を受けたものの治療が効かなくなった患者さん

②手術ではなく、放射線療法や抗がん剤による治療をうけたものの治療が効かなくなった患者さん

ただし、この免疫細胞療法自主臨床試験は①②に該当する方なら誰でも受けられるわけではありません。必要な基準に合った方に参加していただきます。

たとえば、感染症検査(HBs抗原、HCV抗体、HIV抗体、HTLV-1抗体)が陽性である方や、妊娠を希望する方や妊婦、授乳婦の方などは参加いただけません

投与するγδT細胞の培養は、得られるγδT細胞の数に個人差がありますので、この臨床試験への参加に同意いただいた後に「事前γδT細胞検査」でγδT細胞が増えるかどうかの検査を実施します。この検査の結果、γδT細胞が増えず、治療に十分な細胞を培養できないと判断された場合には、治療効果が期待できないため、γδT細胞の治療へは参加いただけません

あなたがこの自主臨床試験に参加できるかどうかの最終的な判断は、東京大学医学部附属病院の肺がんの診療にかかわる内科、外科、放射線科、病理診断部等の医師が一同に集まって症例を検討する会(キャンサーボード等)で決定いたします。そのため、あなたのご希望があってもご参加できなくなることもあります。

この自主臨床試験は先進医療Bとして行われます。すなわち、免疫細胞療法に関する費用は本治療を受ける方が全額負担いたします。すなわち健康保険は適用されません。免疫細胞療法に必要な治療費は1回につき約220,000円、6回の治療で合計1,320,000円程度です。免疫細胞療法以外、すなわち外来受診や血液検査、CT撮影等に関する費用については健康保険が適用されます。

大変申し訳ございませんが、患者さんからの直接のお問い合わせには対応することができません。東京大学医学部附属病院 呼吸器外科では、患者さんを受け入れる能力に限りがあるため、UMIN臨床試験登録システム上で「限定募集中」と記載しているように、東京大学医学部附属病院の患者さんを対象に実施しております。他の施設で治療中の患者さんに試験への参加/登録していただくためには、患者さんの御自宅から無理のない範囲で外来通院が可能であることと、当科と主治医の先生が協力を行うことが必要です。診療には、主治医の先生のご協力と医療連携が不可欠ですので、試験の参加を希望される方は、まずは主治医の先生にご相談いただき、お手数ですが、主治医の先生から当科にお問い合わせ頂けるようにお願い申し上げます。

担当(主治)医の先生へ

東京大学医学部附属病院呼吸器外科では、標準的な治療に対して抵抗性の再発・進行肺がんに対して、γδT細胞を用いた免疫細胞治療の自主臨床試験を第3項先進医療(先進医療B)として開始します。

γδT細胞治療について

今回の治療で用いるγδT細胞は体の中の血液中のリンパ球の一種です。普段はリンパ液や血流に乗って全身を循環し、がんや感染症などからからだを守る役割を担っています。γδT細胞は、正常細胞とがん細胞を見分けるための受容体を持っており、がん細胞表面に存在するリガンドを感知してがん細胞を攻撃しますが、リガンドを持たない正常細胞を攻撃しない細胞として知られています。そこで、私たちは、がん細胞のみを感知して攻撃することが期待できるγδT細胞を大量に培養する技術を開発し、がんの治療に用いることにしました。
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この臨床試験でおこなうγδT細胞治療では、患者さん自身の血液から成分採血で末梢血単核球(PBMC)を採取して分注して凍結保存します。採取したPBMC を順次解凍し、そこに含まれるγδT細胞を無菌培養室で2週間培養し、数を増やし活性化させてからもう一度患者さんの静脈内に投与(点滴)して、体に戻します。


γδT細胞の投与は2週間毎に6回実施し、効果が確認された患者ではさらに治療を継続します。

本試験の臨床上の意義

我が国における肺がん治療の標準治療を規定するべき日本肺癌学会編(2005年版および2010年版)/ガイドラインにおいて、ファーストラインの化学療法として白金製剤を基本とした併用化学療法が標準とされているものの、その治療成績は決して高くはなく、様々な比較臨床試験が実施され、より有効な治療レジメンの検討が行われていますが、奏効率、生存期間についてブレークスルーを得るにはいたっていません。

そこで本試験では、肺がんに対する自己γδT細胞治療の有効性(無増悪期間等)を検討するため第Ⅱ相臨床試験を計画しました。セカンドラインの化学療法に対して抵抗性を示す症例や、術後の再発に対して、白金製剤やドセタキセル又はその併用治療など標準的な化学療法を実施するも再発又は増悪をきたす症例など標準治療が確立していない治療抵抗性の患者に対する新たな治療法を確立することは非常に有意義であると考えます。さらに、我々が実施した第Ⅰ相臨床試験では、重篤な有害事象が発生した2例を除き、QOLを損ねることなく一定期間の治療効果を示唆するデータが得られました。肺がんの罹患者数は40歳を超えた辺りから増加し始め、高齢者になるほど高くなることが知られていることから、現在の高齢化社会において社会的活動の中心を担う40代から 60代の患者が、外来通院で治療ができ、QOLを損なうことなく治療を受けることができれば、患者や社会に対して大きな利益をもたらすと期待されます。

これまでの自己γδT細胞治療の成績

自己γδ細胞治療は、化学療法・放射線療法とは異なる作用機序により、抗腫瘍効果を期待できる新しい療法であり、有効な治療方法のない既存の化学療法に抵抗性の非小細胞肺癌患者に対する治療効果が期待できます。その安全性と有効性を評価し、自己γδT細胞治療の臨床応用を検討するため、当院において2006年より肺がんを対象として第Ⅰ相臨床試験UMIN試験ID:C000000336)を実施しました。

肺がん患者20名中15名の患者の末梢血から安定的にγδT細胞の増殖が可能であり治療を実施しました。その結果、15例が登録され、安全性と有効性の評価を行いました。治療に関連する重篤な有害事象は認めませんでした。さらに、副次的な評価の治療効果として6例でSD(安定)が得られ、無増悪生存期間中央値は126日(範囲:34-285日)、全生存期間中央値は589日(範囲:202-1505日)と、一定の有効性が示唆される結果を得ました。免疫学的モニタリングにおいては、γδT細胞を投与した結果、患者の末梢血中のγδT細胞の割合の上昇、特にエフェクターメモリーγδT細胞の上昇を認めました。

その他、国内ではKobayashiらが進行性腎癌7例を対象に活性化自己γδT細胞治療を実施し、重篤な有害事象は観察されず、測定可能であった5例中3例で腫瘍体積倍増時間の延長を確認したと報告しています。現在、東京女子医科大学において高度医療として腎細胞癌に対するγδT細胞治療が実施されています。日本赤十字社医療センターでは、多発性骨髄腫の患者6例に対してγδT細胞の投与が実施され、4例でM蛋白の低下または安定化を認めたと報告しています。海外では、Bennouna らにより、腎細胞癌に対するγδT細胞治療が実施され、SD症例を6例報告しています。

著者 対象 症例数 有害事象 効果

Nakajima/
Sakamoto

肺癌

15

感冒様症状、細菌性肺炎、放射線肺炎

6例でSD,
PFS=126日,
MST=589日

Kobayashi

腎細胞癌

7

発熱、倦怠感、肝機能障害

5例中3例で腫瘍の倍加時間の延長

Abe

多発性骨髄腫

6

重篤な有害事象なし

4例で血清中M蛋白の安定化

Bennouna

腎細胞癌

10

8×109個の細胞投与例で 播種性血管内凝固症候群

6例でSD,
TTP=25.7週

試験実施期間
平成24年7月1日~平成31年6月30日
(登録期間締切:平成30年12月31日)
目標症例数   85例

主な研究組織

・研究代表者・試験責任医師

東京大学医学部附属病院 呼吸器外科 教授 中島 淳

・主な試験分担医師

呼吸器外科  講師       佐藤 雅昭
医療安全管理学 特任准教授      安樂 真樹
呼吸器外科  助教      似鳥 純一
呼吸器外科  助教      長山 和弘
呼吸器外科  助教      桑野 秀規
免疫細胞治療学講座 特任教授 垣見 和宏
免疫細胞治療学講座 特任講師 松下 博和

本研究により、本治療法の有効性と安全性が確認できれば、標準治療抵抗性の再発・進行肺がん患者に対して、生存期間を延長できる新たな治療法になると期待しています。

本治療は、自主臨床試験として行うため、受けていただける患者さんには厳密な適格基準がありますので、すべての患者さんに受けていただけるわけではございません。

UMIN試験登録ID:UMIN000006128
http://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&type=summary&recptno=R000007250&language=J
試験進捗状況:限定募集中

東京大学医学部附属病院呼吸器外科では、患者さんを受け入れる能力に限りがあるため、東京大学医学部附属病院の患者に対して「限定募集中」という形で実施しております。他施設からの患者さんの臨床試験への参加/登録希望には、主治医の先生のご協力が必要です。東京大学医学部附属病院での臨床試験中も、緊密な連携のもと、貴院での継続的な診療をお願いいたします。たとえば、試験期間中に肺がんの増悪、その他の合併症のために急ぎ診療が必要になった場合、初療については貴院で行っていただけるようお願いいたします。

そこで、当科へのご質問、外来受診につきましては、誠にお手数ですが、

問い合わせフォームをダウンロードして所定の内容を記載後、下記臨床試験事務局へFAXにてお問い合わせください(患者さんからの直接の御相談は受けておりません)。

②当科にてFAX内容を確認後に、折り返し主治医の先生にご連絡させていただきます。その際、登録適格性確認票を添付いたしますので、所定の内容を記載後、当科に送信してください。また、登録適格性確認票は、ダウンロードも可能です。必要事項を確認後、「事前γδT細胞検査」が必要ですので、当科外来初診日の日程調整をさせていただきます。

③当科外来初診の際にご持参いただけるよう、患者さんへ通常通りの診療情報提供書、画像データをお渡しいただけますようお願いいたします。

連絡先:東京大学医学部附属病院 呼吸器外科 γδ T 細胞治療 事務局必ず主治医の先生からFAXにてご連絡をお願いいたします
FAX 03-5805-3164
メールアドレス: haigangdt-office@umin.org

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免疫細胞治療学講座 特任教授

免疫細胞治療学講座 特任講師